支援内容

母に寄り添った支援

 母に寄り添いながら信頼関係を築くことが支援の基本であると考えています。入所直後の生活保護申請、転校手続き、保育園の申請などには職員が同行し、転居に伴う不安ができる限り軽くなるようお手伝いします。
 母からの家事、子育て、健康など生活全般にわたった困りごとに随時対応しているほか、より深刻な生活上の困難を抱えた時には、個別面接の場を設けてどうしたらいいか一緒に考えるなどの丁寧な対応を心掛けています。

安定した就労を目指した取組

 母子が経済的に自立するためには、安定した就労収入が不可欠です。私たちは、令和2年度から母親の希望や適性を踏まえ、母がパートやアルバイトではなく、正社員として安定的に働くことができるよう人材紹介を専門とする企業と連携して就労先確保の取組を始めました。また、福祉的就労も含め、どのような形態であっても就労するということは、社会参加、社会貢献という意味においても大事です。母の事情を考慮しつつ、自分の力を発揮する、社会との関わりを持つという機会が確保できるようお手伝いします。

障害のある方への配慮

 障害のある方に対しては、状況や特性に合わせたきめ細やかな対応が必要です。それぞれの方が日常生活を安心してスムーズに送ることができるよう、公的サービスの利用や、医療機関の受診といった際に母の希望を聞いてアドバイスしているほか、必要に応じて役所での手続き、買い物や病院受診に職員が付き添うようにしています。また精神科への受診に当たっては、その先のデイサービス利用や作業所等での福祉的就労につながるようコーディネートすることも行っています。

お子さんへの支援

 子どもの育ちには、様々な大人の関わりが重要です。住み慣れた地域から母子で逃れてきた子どもにとって、職員が父親、親戚の叔母さんやお姉さん、近所のお兄さんなどの代わりです。当施設は若い職員が多く、鬼ごっこやボール遊びなどでは子どもたちと一緒になって走り回り、子どもたちの良き遊び相手、相談相手になっています。
 子どもたちには、職員との関わりの中で大人との信頼関係を築き、見守られているという安心感を持ってもらうことはもとより重要ですが、挨拶をする、ルールを守るといった社会生活に必要なスキルも身につくよう指導していきます。また千代田寮は学習室を備えており、下校後、子どもたちが宿題など学習にじっくり取り組めるよう学習支援員、少年指導員が月曜日~金曜日までの毎日寄り添って指導しています。

心理サポート

 様々な困難を抱えて入所してきた母子にとって、職員がその気持ちを丁寧に汲み取り、寄り添いながら、希望に向かって一緒に歩んでいくことは自立への支援の第一歩です。慣れない取りでの生活の不安や、DVなどによる心身のダメージからの回復がより円滑に進むよう、臨床心理士がそれぞれの母子の事情に応じてカウンセリングなどの心理支援を行っています。

退所後のフォロー

 千代田寮退所後は出身地に戻らず、施設の近隣に住むということが少なくありません。たとえ自立の目途が立ち、生活環境が整ったとしても、新しい環境にスムーズになじめるとは限りません。退所に当たっては、管轄する福祉事務所などと連携して、地域での支援体制を整えますが、私たち施設は、母子にとっての拠り所であるとも考えますので、母子が安定した生活を送ることができるよう、電話や来訪による相談や、カウンセリング、トワイライトステイ事業(学童保育)により引き続き支援していきます。